アプリの広告収益で稼げるようになると、消費税の納税が必要になってきます。(納税について心配するほど稼げるようになるといいのですが…)
参考情報:
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi_kojin/r05/pdf/01-01.pdf の内容から抜粋すると、具体的には以下のようなケースですね。
- 適格請求書発行事業者(インボイス)に登録している場合
- 基準期間における課税売上高が1000万円を超える場合
- 特定期間における課税売上高が1000万円を超える場合
ところが、AdSence や AdMob については「非課税」という話を良く目にします。そこで、実際のところどうなのか調べて、根拠などの情報を色々まとめてみました。
アプリの広告収益は消費税の課税対象か?
まずは、アプリの広告収益自体が消費税法の課税対象なのかを調べてみました。
国税庁『国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について』という資料に以下の記載があり、 ○ インターネット等を通じた広告の配信・掲載 という項目があります。
「電気通信利用役務の提供」に該当する取引の具体例
電気通信利用役務の提供に該当する取引は、対価を得て行われる以下のようなものが該当します。
○ インターネット等を通じて、対価を得て行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信
○ 顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
○ 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
○ インターネット等を通じた広告の配信・掲載
○ インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲
載料金等)
○ インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
○ インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業
者から掲載料等を徴するもの)
○ インターネットを介して行う英会話教室
「インターネット等」とあるので、「アプリ内での広告配信」はこれに該当すると考えて良さそうなので、「電気通信利用役務の提供」に該当するようです。
「消費税法」の第四条を見ると課税の対象について記載されており、三 電気通信利用役務の提供である場合 という項目があります。
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
2 保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する。
3 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一 資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
二 役務の提供である場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が国際運輸、国際通信その他の役務の提供で当該役務の提供が行われた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
三 電気通信利用役務の提供である場合 当該電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所(現在まで引き続いて一年以上居住する場所をいう。)又は本店若しくは主たる事務所の所在地
(以下略)
まず、課税対象となるのは「国内」での事業に対してのようです。
そして、アプリ内の広告配信は 電気通信利用役務の提供 に該当するので、「国内かどうか」の判定に 当該電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所 が使われるようです。
アプリ内の広告配信が「役務の提供」であってこの役務を提供しているのはアプリ開発者であり、「役務の提供を受ける者」はAdMobで広告配信している場合であればGoogleさんということになります。
つまり、Googleさんの住所が国内かどうか、というのが重要になってきます。国内であれば課税対象、国外であれば課税対象外となるはずです。
Google AdMob の収益に関する税務情報
Google AdMob の収益が課税対象になるのかどうかについて、公式のドキュメントが用意されています。
このページに以下の記載があります。
税法の詳細は契約先の事業体により異なります。
リンク先のページは以下です。
このページには「事業体」の確認手順について、以下のように書かれています。
- https://apps.admob.com から AdMob アカウントにログインします。
- ページ下部の [利用規約] をクリックします。
- 規約の「はじめに」の段落を見ると、契約先の事業体に関する情報が記載されています。事業体は次のいずれかになります。
AdMob アカウントページ の下部にある「利用規約」のリンク先は以下です。表示するとページのタイトルが「AdSenseオンライン利用規約」となっているのですが、AdMobの利用規約はAdSenseと同じもののようです。
「請求先住所」を「日本」にして確認すると、 1. AdSense へようこそ の箇所に以下の記載があります。
「当社」または「Google」とは、Google Asia Pacific Pte. Ltd. を意味し、「当事者」とは、お客様と Google を意味します。
したがって、AdMobの事業体は Google Asia Pacific Pte. Ltd. ということになります。
を見ると Google Asia Pacific Pte. Ltd. の住所が記載されており、以下とのことです。
Google Asia Pacific Pte. Ltd.
Mapletree Business City II
70 Pasir Panjang Road, #03-71
Singapore 117371
Singapore とあるのでシンガポール、つまり国外ということになります。
以上より、「AdMobでのアプリ内の広告配信」は国外の事業という扱いとなり、消費税の課税対象外となります。
まとめ
AdMobでのアプリ内の広告配信に消費税が課税されるのかについて、さらっと「課税対象外である」と説明しているサイトなど多くあるのですが、根拠が曖昧だったりしたので、自分で調べて各種リンクなどまとめてみました。
AdMob以外に、 AdSense の利用規約が適用されるものについても同様と思われます(が、細かい点は未確認です)。
ページの最初に書きましたが、私は法律や税務について全くの素人なので、解釈を間違えている可能性があります。記事の内容を参考にする場合は、全て自己責任でお願いします。
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